好きな子の家庭教師最終日
担当している私立中学校2年生の男の子の家庭教師の最終日だった。
彼は、LDではないが、特異的に数学の成績が悪い。と言っても、彼が学校で勉強している数学は数ⅠA、それも高校の授業より速いスピードで授業が行われている。
彼は、中学生レベルの問題は容易なく解答できる。公立中だったらトップレベルであろう。ただ学校レベルの難しい問題になると、心が折れる。でも必死に立ち向かおうとする。ひじの内側が出血するほど掻く。頭もものすごい勢いで掻く。『もういい、止めよう』と何回言おうとしたか…しかし彼は最後の回まで投げ出したり、逃げ出したりすることはしなかった。
必死に教えた、できる限り教えた。でも捗捗しく成績は上がらなかった。本当に申し訳なかった。
PCを組み立てること、鉄道写真を撮ることが好きな男の子。とても豊かな世界を生きている。素直で優しい。たまにグミをくれる(笑)
お別れするのが本当につらかった。「寂しいね~」⇔「寂しいね」が何回も続いた。
前に記した男の子と違って、とても可愛い男の子だ。お別れのプレゼントを持っていって渡した。時間も来て彼の部屋で、お母さんも一緒にお別れの挨拶をした。
手土産をいただいて、何回も何回もご挨拶いただいた。ウルウルしてしまった。
そして最後玄関でご挨拶して帰途に就いた。
「さようなら~」振り返ると、遠くに見える玄関の前で大きく手を振っている彼がいた。思い切り大きく手を振り返した。涙が見えないくらい遠くでよかった。
令和でもこういうお別れはある。
いい子と出会えてよかった。
一生懸命やってよかった。
一生忘れない生徒になった。