人生を仕舞う

人生をどう仕舞っていくか。遺せるものはあるか。

「手袋を買いに」本当に優しい人なのだろうか?

子ぎつねがお母さんからお金をもらい手袋を買いに行く話は好きだ。

母の子どもに対する無償の愛を感じる。

お母さんが、こぎつねの片方の手を人間の手に変えてくれ、お店に行ったら人間の方の手を出し、「この手に合う手袋をください」って言うんだよと教えられ、子ぎつねが手袋を買いに行く話だ。

手袋を売っている店主の行動に着目する。

本当に良い人なら、子ぎつねが間違ってきつねの手を出したとしても、その手に合う手袋を試着させてあげるのではないか。その手袋を子ぎつねが気にって”買います”と言ったらお金を払ってもらうのではないか。

しかしその店主は、手袋を試着させる前に子ぎつねに、「持っているお金を見せろ」と言い、偽札でないことを確認した。

今の社会には、この店主のような人しかいない。

たとえ騙されてもいいじゃないか。その子ぎつねが暖かく冬を過ごせればいいじゃないか。

余裕がない人、相手の立場を考えられない自分本位の人、優しさがない人たちばかりでこの世界は回っている。

四角、三角、錐体ばかり。円、球はそれらに当たられ、ぼろぼろになってしまう。

「人間なんてこわくないや!」と子ぎつねは最後に言う。

この子ぎつねを失望させないように生きていく。